信じねば崩れ去る自分という存在。〜人類皆兄弟、なのか?

先日かほりんがシェアしてくれたある動画を観まして。


※かおりんがシェアしてくれた日本語字幕付き動画は貼れなかったので、元ネタを。

youtube設定で英語字幕可。日本語字幕付きは"イミシン"というメディアで紹介しています。


映像の流れとしては

⒈モニターの国籍と生まれ育ち、家族について

⒉どうも相容れない、好きになれない特定の国や人種等はあるか?

⒊DNA鑑定の案内

⒋鑑定結果と感想

といったところです。


上記動画は総集編ですが、モニター中から6名のエピソードを抜粋して、一人一動画で紹介されています。

再生リストはこちら


はじめに総集編を観てとにかく私が驚いたのは、(映像で使われている)モニター達が

「私は100%〇〇人である」と断言していること。

言い方悪いけど、日本人が島国根性で「わたしひゃくぱーまじでにっぽんじんだからー!」って言うならまだ理解できます。

でも、このモニターの方々って大陸の方々。

大陸ってさ、陸続きで色々が色々あった歴史の上に今の世界が成り立ってると思うから、単純に考えて

「私は100%〇〇人である」

ってとっても難しいことだと思うのね。人類の移動もあればいくつもの国家ができては滅び、植民地支配も奴隷も移民もあるし、戦争も難民もあるじゃん。実際 "移民国家" って自称している国だってある訳だし。

どうして彼らが何の躊躇もなくdefinitely, absolutely=絶対に間違いなく、って自分のことを言えるのか不思議で仕方なかった。


で、気になって個人個人のエピソードを観ました。

6名全員分観てわかったのは、彼らが背負うどうしようもなく複雑で重た過ぎる感情。


「私は100%〇〇人である」と信じねばと崩れ去る自分という存在。


比較しやすいのが、EllahaとKaren、そしてYaninaの3人だと思います。


Ellahaはクルド人としてイランに生まれ、政治難民としてデンマークに移住。この鑑定で何がわかることを望むかと聞かれた返答に、オスマン帝国崩壊から現在に至るまで苦渋をなめさせられ続ける "国家を持たない最大民族" として生きてきた彼女の苦悩が滲みます。

「陳腐な表現かもしれないけど、あなたと私に人間としての違いは無いって(言って欲しい)。」


Karenは、東アフリカはブルンジに生まれました。「私も私の先祖も100%東アフリカ人よ、間違いわ。」と笑顔で答えていた彼女は、他モニターを鑑定結果を目の当たりにしとてもナーバスになります。「私は本当にこの結果を知りたい?そう自分に問うた。」「私はアフリカ人だから、先祖を振り返るのは、他のモニターよりも重い。」「※私たちの歴史と課せられてきた試練を、私は成長する中でで、私たちが何者か自分自身が何者であるかをずっと受け入れてきた。だから、これより他のことを知りたいのかわからない。」

※この部分の訳がなんとも表現しづらくここにおおっぴらに書いていることそれ自体が超絶恥ずかしいのですが、個人的解釈を書きます。 恐らく言いたいことは「自分たちEastAfricanたちの歴史や戦争紛争、待遇を、私はEastAfricanとして受け入れてきた」ということかと。つまり、彼女は "私はEastAfricanなんだから" と自分に言い聞かせる(=誇りでもあると同時に恨みつらみでもあると思います)ことで自分自身を支え続けてきた、ということ。他のモニターたちの結果を見て、「もしかしたら私にEastAfrsican以外の遺伝子が在るのかもしれない」と不安になる訳です。それはつまり "自分を支えてきた前提=鎧が崩れ去る" という恐怖。ほんのカケラ程度の参考ではありますが、この地図を見ただけでも彼女が背負うものの重みを窺い知ることができると思います。

「(私が今までの人生で受け入れてきた)それ以上のことを知りたいか、私にはわからない。」


Yaninaの国籍はロシア、生まれたのは今は亡きソヴィエト連邦です。「私の知る限り、両親も祖父母もロシア人よ。」と語る彼女ですが、鑑定で何がわかると思うかと聞かれた彼女はこう答えます。「きっとドイツや、ポーランド、そしてイスラエルから来た先祖がいるんじゃないかしら。そしてもちろんロシアの先祖がね。」旧ソ連が広大なエリアをカバーしていたからなのか、彼女はロシアルーツでない遺伝子があることにとても肯定的です。((個人的にはこれが歴史的に優位に立ってきた(=かき回してきた)側と立てなかった(=かき回されてきた)側の決定的な違いかと思います。))

「悲惨な歴史を生き抜きベストを尽くしてきたロシア人を、心から誇りに思っているわ。」


彼女たちの鑑定結果とそれを受けての様子は、是非動画を御覧ください。


この動画、というかこの先生(男性)の凄いところが

「どんな結果が出ても、君は君だよ。」

「この結果は、君に別の視点を与えるだけのものだよ。」

と、彼らの人格形成を絶対的に肯定するんですね。科学的根拠を持つ "絶対的事実" を押し付けない。


彼ら6人のエピソードを観てまざまざと見せつけられるのは

"その人の生きる世界はその人の思考によってつくられている" ということ。そして、

"成長する過程でその人を守ってきた思考が頑なにその人を守り続けている" ということ。

だからこそ、"絶対的事実" が絶大な力を持つ。

この "絶対的事実" を前に、今まで自分が頑なに譲ることなく握りしめてきた思考が

突然サラサラと流れていく、まるで水のように。

もう一度握ろうにも、サラサラと流れるそれを同じように手にすることはできない。


私はこのかほりんの返答がとても好きで。

"人類皆兄弟" とか、それこそワンネスとか、言うのも理解するのも簡単だと思うんです。実際イミシンの方には「人間はみんな兄弟なんだ」というような見解を述べている方も見受けられました。

シンプルな事実ほど、信じるのも認識するのも酷だよね。

元ネタ動画の方には「モニター全員のエピソードをアップして欲しい」というコメントが多数ありましたが、実際、この動画のように肯定的に受け止められる方ばかりじゃないと思います。公表されたらマズイことだって、そりゃその人の抱える事情によってはあり得るでしょう。

他国の方って、家系図をきちんと持っているし見ているし、自分の名前に代々祖父や親の名前が含まれたりしますけど、そういうのって所詮人が意図的にやってることだから、同時に意図的に消去することだってできる訳ですよね。

その時代時代の情勢に翻弄されることが多かったであろう大陸の人たちっていうのは、

「私は100%〇〇人である」

と自らアイデンティティをつくっていかないと、自分自身を奮い立たせることが難しい環境に生きているんだと思います。


「100%日本人である」という発想そのものが、私にはありませんでした。

上記画像にありますが、父は佐賀、東京出身の母方の祖父は青森と、私の両親は日本の両極にルーツを持っています。そもそも幼少期から私は佐賀県人と東京人が同じものだと思っていなかったですし笑、人の顔立ちや背格好を見るのが好きな私は、漠然と父方と母方の血は "違う" ものだと認識していました。場所柄いつどこのご先祖様が海を渡ってきたかもわからないし、そもそも弥生人と縄文人?でわかれるっていうし、ていうか学校の授業で習った原人は日本から出てないし笑。

有り難いことに私は、「100%日本人である」なんて思わなくても生きていられる平和な世界に生きてきました。


鑑定結果を知った後、「もうクルド人だって言えなくなっちゃった。」と茶化すEllahaに先生は続けます。

「君は君だよ、クルド人のEllahaだ。」

「(君が持っている)どの人種にもなれる。みんな君のようにMIXだ、政治的問題と(MIXである事)は関係無い。」

「広い意味で遺伝子的観点から言えば、人類は皆親族だ。」


仮に、
このストーリーが作り物だとしましょう、"やらせ" だと。
例えこれがフィクションだとしても、物語の設定と結論は間違っていないです。
その点において、この動画はとても大きな意味を持つと私は強く思います。


「私たちは皆ひとつ」と言うのは簡単です。
「世界はひとつ」何も間違ってません、その通りです。

でも、どうか、その事実と併せて、

「私たちは兄弟よ」なんてどうしたって言えない人がいる事実も
どうぞ、知ってください。

同じ「世界はひとつ」でも、道徳観(と昨今流行りのスピ的観点)だけに頼った発言は、ただの暴力です。

フランス人の女性が言っていますね。

「この鑑定は義務化すべきよ。」

それは、"絶対的事実" を知ることの力、そのものを表していると思います。

実証を以てはじめて、個人個人が後天的に作り出した感情は昇華される。


私は、日本生まれ日本育ちの日本人です。でもきっと、朝鮮をはじめとするたくさんの知が入っているんだろうと思います。

あぁ、受けてみたいなぁ。


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